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 2011年の世界経済は緩やかながらも回復を続け、「二番底」は回避される見込みが有力になってきた。米国では国内総生産(GDP)の7割を占める消費が息を吹き返し、大型減税の延長など政策面でのバックアップが進む。中国など新興国の経済成長も依然として堅調だ。国際通貨基金(IMF)は、11年の世界経済成長率を4.2%と見込む。

 ただ、米国の雇用や住宅市場は低迷し、新興国ではインフレやバブルのリスクが膨らむなど不安要素も残る。景気回復が外需頼みの日本にとっても、“対岸の火事”視はできない。

 「顧客の戻りが着実になってきた」

 クリスマス商戦に突入した米国の百貨店や衣料品店関係者からは、こんな声が上がっているという。感謝祭後の11月下旬以降、消費が堅調に推移しているためだ。国際ショッピングセンター協会によると、米主要小売業の12月第2週(5〜11日)の既存店売上高は前年同期比3.1%増。12月中も同じペースで推移するとみられている。

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 ■米の雇用・新興国過熱…残る不安

 「中間所得層を守り、経済成長を促す」。今月17日、大型所得税減税(ブッシュ減税)を延長する法律が成立した際、オバマ米大統領はこう述べた。これに先立つ14日には、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和政策の維持を決定。財政と金融の“タッグ”によって、2011年に向けて経済を下支えする態勢が整った。

 ◆過度な楽観は禁物

 実際、減税延長の決定後、複数の米金融機関が相次いで11年の実質成長率見通しを従来の2%台から3%台へと上方修正した。クレディ・スイス証券経済調査部も「減税などで個人消費の腰折れ懸念が後退した」と分析。米国経済にも薄日が差してきたかのようだ。

 一方、中国、インドなど新興国は堅調だ。アジア開発銀行は今月7日、日本など先進国を除くアジア大洋州45カ国・地域の10年の実質GDPの成長率予想を9月時点の8.2%から8.6%へ引き上げた。

 世界の企業にとって、アジア諸国は生産拠点や販売市場として「国際戦略上、最も高いプライオリティー(優先順位)を持つ」(メガバンク首脳)。日本企業も、自動車や電機など上場企業が新興国で稼ぐ利益は、ここ10年で数倍に膨張した。「アジア経済圏の統合や所得の中流化なども発展を後押しする」(銀行系エコノミスト)。

 中国が12月に入って預金準備率を引き上げるなど、新興国が金融引き締めに走っているのも「景気の過熱を冷ますための正常な政策」(アナリスト)。一時的な鈍化はあっても、「堅調な経済成長は持続する」(同)とみられている。これら新興国や米国の動向を踏まえ、日銀の白川方明(まさあき)総裁は、「11年以降、海外経済全体の成長率が高まっていく」とのシナリオを描く。

 ただ、「過度な楽観は禁物」(日銀幹部)との警戒感もある。その一つは、米国の雇用情勢や住宅市場が悪いことだ。11月の失業率は9.8%と前月から0.2ポイント悪化。住宅価格も下落しており、家計のバランスシートを悪化させ消費意欲を冷ます恐れがある。欧州でも、信用不安がポルトガルやスペインなどへ広がる懸念が出ている。

 ◆変わらぬ海外頼み

 新興国では、先進国の金融緩和であふれたマネーが流れ込み、不動産や資源、食料などの価格が高騰。中国の11月の消費者物価指数は前年同月比5.1%増と、2年4カ月ぶりの高水準を記録。「インフレやバブルの危険性が高まっている」(アナリスト)状況だ。

 新興国が今後も金融引き締めを続ければ、米国との金利差が拡大し、マネーの流入が止まらない悪循環も予想される。「バブルが崩壊すれば、世界経済全体に大きな影響が及ぶ」(白川総裁)との懸念は、現実味を帯びてくる。

 日本自動車工業会の志賀俊之会長は「海外市場の拡大が輸出につながり、生産を維持してきた」と、世界経済が日本経済に及ぼす影響の大きさを指摘する。08年秋のリーマン・ショックで落ち込んだ日本経済が、11年は力強く再生できるのか。海外経済頼みの状況は変わらず、為替動向や自由貿易の交渉などをにらみながら、日本の政府・日銀は不安な経済政策のかじ取りが続きそうだ。(山口暢彦)

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